ひとりごとのひとりごと。


 先日、とても不思議な経験をしました。

 僕は父を8年前に亡くしています。
 野球が大好きだった父と一緒に野球をするのが僕は好きで、よく遊んでもらいました。
 そんな父が夢に出て来たんです。
 それも5~10分位のうたたねの中、普段は夢など見ることも無く、
 ましてや父が出てきたことなど殆どありません。
 
 
 天気のいい、真昼のつかの間の出来事。

 
 それは夏の暑さも和らぎ始めた夕暮れ時。
 親戚一同が集まる日で、畳の大広間には食事とお酒が用意され、賑やかな、和やかな宴の席が設けられていました。
 家の中では大勢の親族が話に花を咲かせる中、僕はその輪を離れ、庭に出て、ひとり涼みながら、オレンジ色に包まれたその空間を眺めていました。
 そうして何とも無くぼんやりしながら、気持ちの良い夜風を感じてふと横を向くといつの間にか、懐かしいその人がいたんです。

 「お父さん。」

 呼びかけようと思ったけど、なんとなくそれをしなくって、だって不思議と当たり前の存在感があって、あの頃と変わらぬ笑顔で、今までで一番穏かな表情でそばにいてくれて、言葉は無くとも、色んな会話をしている感覚があったから、僕は何にも言わず、ただ、お父さんと一緒にいました。
 
 二人でのんびりと、群青色に染まる空を見ながら、ぼんやりして。
 そうしてお父さんはふと口を開きました。

 「お父さんに会いに行ってきな。」

 穏やかな口調で、優しい表情で。
 僕に伝えました。
 言われて僕は、たくさんの親族たちはお父さんの一周忌の為に集まったんだと思い出しました。
 「仏壇に、手を合わせに行ってきな」
 ってことだとすぐ分かったけど、僕はそれをせず、
 「お父さん、ここにいるじゃん。」
 と、言おうとしました。
 でも、それも出来ずに口を閉じました。
 
 あ、お父さん、もういないんだ。。。。。

 目の前にいる父を見ながら、その存在がもうこの世にないことに気付いたからです。
 
 しっかりとした存在感で目の前にいるのに、現実は違うってことも認識していて、それがなんだか寂しくて、切なくて、よく分からない感覚がごちゃまぜになって、どうしようもなくなっていたら、いつの間にか、泣きながら目を覚ましていました。

 
 

 目覚めて、少し落ち着いてから、この夢のことを母に知らせました。
 母がお父さんの夢を見る時は、決まって「何か」が起こる前だったりするから、どうしたものかと、変わりはないかと想って連絡しました。

 そうしたら、今日、兄が帰ってくるはずだったけど来れなくなったと連絡があった、と。
 お彼岸の入りだから帰ってこれないか、と言ったけど無理だった、と。
 
 「お父さんは剛史に会いたくなったのかもね~、たくさん一緒に遊んだもんね。でも、大丈夫、いい顔してたでしょ?何もないから心配しないで。」

 諭すように言ってくれましたが、兄が来れなくなったその日のすぐお昼に僕の夢に立ったこと。
 このタイミング。
 今月は予定を開けられず実家に帰っていなかったこともあったので、僕は無理くり都合付けてお父さんに会いに行ってきました。
 お彼岸で母が綺麗にお墓を掃除してくれていたので、来月は僕が掃除しに来るからね、って約束してきました。
 
 
 こんな経験は初めてで、見た夢もすぐ忘れてしまうことがほとんどなのに、この夢だけは今もちゃんと覚えていて、とても暖かな感覚と共に今もいます。
 今もお父さんはちゃんと僕の中にいる、って思えたことが嬉しくって、この感覚は忘れたくないと想っていて。
 この繋がりを、ちゃんと繋げて行きたいって気持ちでいます。

 家のこと、土地のこと、家族のこと、ご先祖のこと、、、今まで気にならなかったことにとても興味がわいています。
 知りたいし、知っていなくちゃいけないような気もしています。

 僕という人間が、どうしてここにいるのか。

 どうして、僕は「さをり」という織り物に出逢ったのか。

 この人たちと共にいるのか。

 
 少しずつ、理由を感じていけたらいいと、想っています。




 
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